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皆様からよく頂く 「石けん」に関する ご質問と回答集です。 ゼノア&上木めぐみ先生(自然派生活塾・ なちゅらる本舗主宰 )が回答しました。 |
古代、人は水や灰汁・植物で洗濯をしていました。
●アルカリを利用したもの=木灰、ワラ灰、海藻灰、生石灰、など
●吸着作用を利用したもの=フノリ、寒天、小麦粉、うどんやそばのゆで汁、卵白など
●天然の界面活性剤を利用したもの=サイカチの実、シャボン草、桔梗の根、桔草(きっそう)、、シクラメン、大豆のゆで汁、米のとぎ水など。
身体を洗うには
●小豆や大豆の粉に香料を入れた洗い粉など
● ヘチマ、ぬか袋、軽石など
石けん以前の洗剤は、本当の意味での天然物を用いました。
紀元前3000年代のシュメール(現在のイラク)の記録粘土板に、すでに石けんが登場しています。それより昔は、水や灰汁、植物、土等を利用して洗浄をしていたようです。
羊を焼いて神に供える習慣のあったローマ近くにあるサポーの丘で、したたり落ちた羊の脂と灰が川に流れ、川の土に、自然に石けんのようなものでき、この”不思議な土”が珍重され、これが石けんの始まりとされています。「ソ−プ」や「シャボン」の言葉は、このヒョンな発見があった「サプルの丘」が語源になっています。
●木炭が燃えた後の灰は「アルカリ」です。アルカリが汚れを落とす事を知った昔の人は、灰汁で洗濯をしたり、食器を洗ったりしていました。
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●そのアルカリと動植物の油脂を混ぜると石けんができる事を知った人々は、石けんを作り始めました。
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●後に「苛性ソーダ」というアルカリ剤と油脂を混ぜて、工場や手作業で石けん作り、暮らしの中に定着してきました。石けんは単純に「油脂」+「苛性ソーダ」という至ってシンプルな材料で作られています。
<石けんの普及>
18世紀、ヨーロッパではペストや天然痘等の伝染病で多くの人が死んでいます。当時は一つの国の人口の四分の一ぐらいが伝染病で死んでいます。伝染病との闘いが社会防衛上の一大課題であったわけです。病原菌も発見されず、ワクチンのない時代、フランスでは、伝染病の予防として下水道と石けんの普及を考えました。多くの人が石けんを使用する公衆衛生の必要があったからです。大量に生産するために苛性ソーダが発明されたのもこの時代です。石けんはヨーロッパ中に広く普及し、伝染病予防に役立ち、最初のねらいどおり伝染病の死亡率が激減しました。医学の進歩ともあいまって、当時流行していた皮膚病や多くの経口伝染病を大幅に減少させ、当時の人々の平均寿命を一段と伸ばすことに貢献しました。
<日本にはいつ来たの?>
●石けんが日本に入ってきたのは、安土桃山時代。ポルトガル人にシャボンとして鉄砲と共に持ち込まれ、当時は洗浄用としてではなく、薬用として貴重品だったようです。
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●明治4年(1871年)京都・大阪で工業的に石けんが製造され始めました。民間に広く普及しだしたのは、明治22年(1889年)で、石けんが生活に取り込まれて未だ100年足らずしか経過していないのです。
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●当時は油脂をアルカリで固めただけの「固形石けん」が主流で、たらいと洗濯板でゴシゴシ洗っていました。
後に「洗濯機」が普及して粉末石けんが誕生。主婦にとっての洗濯という重労働から解放されました。
家庭用品品質表示法に基づく表示 | |
品名 | 洗濯用石けん |
用途 | 綿、麻、レーヨン、合成繊維用 |
液性 | 弱アルカリ性 |
成分 | 純石けん分(70%脂肪酸ナトリウム) アルカリ剤(炭酸塩) |
家庭用品品質表示法に基づく表示 | |
品名 | 台所用石けん |
用途 | 食器洗い |
液性 | 弱アルカリ性 |
成分 | 純石けん分(99%脂肪酸ナトリウム) |
品名 | しっとり石けんシャンプー(商品名) |
全成分 | 水、カリ石ケン素地、グリセリン、エタノール |
<石けん以外のアルカリ剤の種類と使い方>
(1)重曹……アルカリ度数8・4
人体に無害な物質で、昔から胃薬や食品として煮豆やお菓子に使われてきました。
研磨作用があり、シンク磨きや茶渋落とし、コゲ取りなどクレンザーとして水に溶けにくいのが難点。またふっくら柔らかくする効果や脱臭効果もあるので冷蔵庫やペットの臭い、ドライ社ンプーとしても使えます。アルカリ剤の中では一番効果が穏やかです。工業用と食品用があります
(2)セスキ炭酸ソーダ(商品名アルカリウォシュ)…アルカリ度数9・8
重曹と炭酸塩の中間の天然物。太古の湖底が干上がって、トロナ鉱石が生れました。
それを純粋な手法で精製粉末化したのがアルカリウォッシュで、古くからある自然の産物です。
とても水に溶けやすく、アルカリ度が重曹より高いので、より汚れ落とし効果があります。
市販の入浴剤に入っている成分で、これをお風呂に入れると家庭でも簡単に「アルカリ単純泉」になり、湯上りぽかぽか、シットリします。
皮脂汚れなどの油汚れや血液汚れ落とし、臭い取りにとても効果があります。オムツや衣類の襟、袖の漬け置きに、日々の軽い汚れの洗濯に、ぬいぐるみやカーペット、カーテンなどの洗いにくいものの洗濯に最適。
(3)酸素系漂白剤…アルカリ度数10・5
絹や毛以外の繊維、色柄物にもに使える優しい漂白剤です。洗濯後の衣類を40度以上のお湯に溶かして漬けると、漂白効果があります。また、液体石けんや純石けんの補助として洗濯に加えると、汚れ落ち効果がよくなります。
(4)炭酸塩…アルカリ度数11・2
1番強い作用のあるアルカリ剤。粉石けんの助剤として配合されています。
食品添加物として、蒟蒻や中華麺にも配合されている成分。昔で言ういわゆる洗濯ソーダのこと。アルカリウォッシュや重曹より汚れ落とし効果が大きく、価格が安いのが魅力です。単品でも販売されていて、液体石けんや粉石けんの洗浄力アップにひとサジ加えると、よりキレイに洗いあがります。
効果が強力なので、普段の掃除より、特に汚れのひどいものや、大掃除に最適。
アルカリ度が強いので、手肌の弱い方はゴム手袋を併用してください。