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「石けんと化粧品の現実」 小澤 王春 | ![]() |
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「石けんと化粧品の現実」 小澤 王春 腸皮は食品を体内に「吸収する皮膚」である。
石けんの脂質は脂肪酸で非常に酸敗しやすい。 ためしに石けんで綿のシャツを洗って数日放置してみるとシャツは異臭を発して薄着の夏などは心配で電車に乗れない。いくら石けんがいいからといって無添加・無香料石けんばかり使っていたら身体や髪から異臭を発する。本人は慣れて気づかないとしても、他人は気づく。 こういう事情でむかしから防腐剤や酸化防止剤を添加してきた。水質に金属イオンがあると石けんがきしんで使いにくい。このため金属イオン封鎖剤も添加した。(エデト酸塩、エチドロン酸など)しかしこれらは毒性が懸念された。異臭をかくすために香料も多めに使ってきた。香料は防腐剤を、ひいては酸化防止剤を兼ねている。刺激があり、ごくまれだがかぶれる人もいる。 しかし・・・ 私たちはこのような添加剤入り石けんを何十年もお風呂場で使ってきた。もしも皮膚に化学添加物が浸透すれば、その物質が皮膚に滞留しやすいことは多くの識者が認めるところだ。つまり、肌は毒性物質といわれる添加物や香料によって健康を害し、乾燥肌やシミやシワなどの老化現象を示していなければならない。 にもかかわらず、無添加・無香料化粧品を使い、気を配ってきた顔よりも、添加物など気にせずに有添加・有香料石けんを使ってきた身体のほうがずっと健康でシミもシワもない。 顔がつっぱって石けんでは洗顔ができないと無添加化粧品を使ってきた人は言うが、有添加のずっと、石けんを使ってきた人は、つっぱって石けんが使えないなどとは言わないのである。適度な洗浄を有する石けんを使い続けることで、肌が健康な状態を保ち、肌のバリアが正常に機能しているから洗顔時多少つっぱってもすぐに普通の状態に戻るからだ。 つまり、石けん添加物の有無は皮膚の健康にはほとんど関係がない。もちろん程度の問題もある。添加物の種類や濃度をやたらに増やしたら添加物のために皮膚が殺されてシミだらけになってしまう。しかし、そういう極端な例は現実にありえない。 使用感を優先し、洗顔後の一時的な潤いを重視した合成洗顔剤は、肌のバリア機能を壊して保水する。当然、水分を逃さないための油膜が壊れているから、使いつづけることで乾燥肌になってしまう。
石けんの残分が肌に保護膜となってはりつく。これは、脂肪酸系のクリームつまり適度な通気性を有するバニシング系のクリームだ。もう一つ、皮内から分泌されるコールド系のクリームにあたる油脂も肌に定住する菌類の餌となり、彼らは油脂の一部を脂肪酸に変えている。脂肪酸という脂質は酸化しやすい。酸化して代謝、角化促進に関係する必要な毒性物質となり、角質層形成の一助となっているという有力な見方がある。 油脂は菌類の餌になる。肌環境で共存するために適度に繁殖を抑制する必要もある。 合成樹脂や合成セルロースなら感触が油脂に似ているし、腐らないし酸化もしないのである。こうして無添加化粧品を流用したものが主流になった。その結果、油脂や脂肪酸を主剤とすべきクリームや乳液は医薬部外品に変更して成分表示をさけているのが現実だ。 無添加・無香料という要求がこういう商品の流行の原因となった。こういう反面をもう少し知るべきではないか。
石けんの役割は皮脂を適度に除くことである。洗浄が終わった後の、肌に残った分は皮膚表層に存在する酸性物質によって洗浄性を失い安全化する。皮膚の過敏な人は刺激の少ない石けんをえらべばよい。石けんの刺激は香料、油脂に存在していた植物毒(天敵の微生物を撃退するために植物が持つ毒)、phなどに由来する。使ってみて違和感なく使える石けんならどれでもいい。肌には石けんや化粧品の原料の浸透を防ぐバリア機能がある。表面から、皮脂、角質層に分布する角質細胞間脂質〜脂/水/脂という脂質で親水性物質と親油性物質を交互にはじく層が数層、角質自体が添加物と結合して奥部への浸透を防ぐ滞留機能(depot)、表皮全体が異物を抱えながら新陳代謝によって措置側に向かう、さらに白血球の食作用、最後の手段がかぶれ、かぶれた部分の皮膚が異物を抱いて死ぬ。 つまり自浄作用、などのバリア機能が皮膚にはある。石けんはこういう機能を壊さないから安全なのだ。 小澤 王春
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